狼系王子とナイショの社内恋愛
「それで、答えは見つかりましたか?」
そう聞いた後、やっぱりいいですと首を振って今したばかりの質問を取り下げる。
それから結城さんを見つめた。
「結城さんは……私を見くびってます」
瞳を驚きからか少し開いた結城さんに続ける。
「泣かせたら、なんて結城さんが今から心配するのはおかしいです。
私は結城さんに泣かされる事があっても自力で立ち直れるし、どうしょうもなくツラい気持ちになったって、時間はかかるかもしれないけどちゃんと消化できます」
結城さんの瞳が揺れる。
「結城さんは……私を信じてしっかりぶつかってくれればそれでいいんです!
後の事なんて、ふたりで考えればいいじゃないですか……。
私は……結城さんに好きだって言ってもらえるなら、勢いでもなんでも嬉しいです。
私のためを思って避けられるよりも、ずっと嬉しい……」
目の前の視界が歪んでいく。
浮かんでいた涙が、頬を伝って流れていた。