狼系王子とナイショの社内恋愛


多分まだ山川さんは結城さんが好きだ。
だから、結城さんから私を守るような注意をされたら嫌だろうし。

そう思って言った私を、結城さんがしかめっ面で見る。

「碧衣は人が良すぎる」
「……そうですか? 別にそんな事ないですけど」
「佐々山課長をかばってた時も思ったけど、そこまで相手の感情を考える事もないだろ。
そのために自分を犠牲にするようなところは直した方がいいよ」

見ていて俺がつらくなるから、と言う結城さんに思わず笑ってしまう。

「でも私も自分勝手な感情で動く事もあるから大丈夫です」

そう言った後、結城さんを見て微笑んだ。

「どうしても欲しいものには手を伸ばすって決めたから」

伸ばした手で結城さんの頬に触れると、柔らかく微笑み返される。

「言っておきますけど、昨日、山川さんと話してる時庇ったのは、いつかみたいに勘違いしたわけじゃないですから。
ちゃんと結城大智を庇いました」

結城さんが明るく笑った。



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