狼系王子とナイショの社内恋愛


コンプライアンス室っていうのは、内部でのセクハラだとかパワハラ、サービス残業など、業務内で不正と呼ばれる事を相談する場所だ。
そこに、私と佐々山課長が付き合っているっていう内容の封書が内部のメール便で届いたらしい。

コンプライアンス室も、噂のひとつひとつにまで目を光らせているわけでもないし、特に恋愛関係の噂なんかはデマな事も多いから放っておくらしいけど。
今回はそれに加えて、封書まで届いてしまったからそのまま放置するわけにもいかなくなって、この呼び出しってわけだ。

山川さん、この間の事が相当頭にきているのかもしれない。
それとも、結城さんと私が付き合い始めたのをどこかで知ってしまってこの仕打ちなのか。

どちらにしても、わざわざコンプライアンス室に封書まで送りつけるなんて行き過ぎてる。

そんな事をしたところで結城さんが自分の方を向くと本当に思っているのだろうかと疑問に思いながら、隣に立つ佐々山課長にちらりと視線を向けた。
予想通り困惑した顔つきになっている佐々山課長に軽くため息をつきながら、コンプライアンス室の室長に視線を移す。



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