狼系王子とナイショの社内恋愛


「私と課長の事、いつから気づいてたんですか?」

今までの上辺だけの会話からガラっと内容が変わったからか、結城さんは少し驚いたのか真顔になった。
それから、ああ、と笑う。

「二ヶ月くらい前かな。
高橋さんの態度でもしかしてって思って、課長を見るようにしたら分かった」
「そうですか」
「別れたのは知らなかったですけどね。
さっきの、高橋さんと課長のやりとりを見るまでは。
いつ別れたんですか?」
「……先週」

グラスに注がれたお水を飲みながら言うと、結城さんは少し黙った後、そうですかと呟くように言った。

突っ込んで聞いてこないあたり、人を気遣える人なのかなと思う。

これが距離感ゼロの志穂だったら、根掘り葉掘り、こっちの傷口が乾かないとか関係なしに聞いてくるし。

志穂と比べてもあまり参考にはならなそうだけど。



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