狼系王子とナイショの社内恋愛


社内恋愛は別に禁止されているわけではない。
二股だとか業務に関係するトラブルでもない限り、もっともプライベートな部分だし会社は介入してこない。

片思いなんてそれこそ個々の自由で、振られたとなればもう触れてはいけない事実として室長の胸に収まるだろうし。

私がああいった以上、この件に関しては特に問題にされる事はないハズだ。
課長に至っては、勝手に寄せられた好意を断っただけって事になるし、注意もなしで終わるだろう。

別に自分を犠牲にしただとか、そんな考えはなかった。
別れた以上、付き合っていた事が今更事実として広まっても困ると考えただけで。
それが結果的には課長を庇った事になるのかもしれないけれど。


「高橋さん」

コンプライアンス室があるのは五階。
コンプライアンス室の他には、資料室や会議室があるけれど、今は使われていないのか静まり返っていた。

そんな五階の廊下に静かな声が響いて振り返ると、結城さんの姿があった。

資料室から出てきたところを見ると、何か調べものでもしていたのかもしれないけれど……。





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