狼系王子とナイショの社内恋愛
「でも今回の事はやりすぎだし、注意するくらいはした方がいいだろ」
「結城さんが注意なんてしたら余計に火をつけちゃうだけですよ。
結城さんの気持ちを取り戻したくてやってるんだろうし……。
もっとも、最初はそうだったとしても今はただ結城さんと仲がいい私が気に入らなくてしているだけかもしれませんけど」
「じゃあ、俺からがダメだって言うなら、こっちもコンプライアンス室に報告しようか。
プライベートな噂を楽しみ半分で自分勝手に広められて、これ以上されたら業務にも支障が出そうだって」
「だからもう本当に大丈夫ですってば。
話は終わったんです。室長も理解がある方で、噂はまったくのデマだって信じてくれましたし」
「普通、あれだけ広まって封書まで届いた噂を、当人の碧衣と課長が付き合っていないって否定したからってすんなり信じないだろ」
結城さんの言葉はもっともだったから、納得させるためにコンプライアンス室での事を説明する。
私の片思いで振られたって事にしたって。
するとまた結城さんの顔がしかめられたけど、言いたい事は分かっていたから先に、違うんですと訂正する。