狼系王子とナイショの社内恋愛


「何がですか?」
「全部言わないと分かりませんか? とぼけるつもりなら証人を連れてくる事もできますが」

どうします?と聞く結城さんに、私は何を言っているんだろうと疑問しか浮かばなかったけれど、山川さんは心当たりがあるのか驚いた顔をしていた。

「証人……?」
「山川さんと仲がいい、派遣の坂下さん、分かりますよね」

私が分からないでいると、結城さんは私を見て、「茶髪で巻き髪のやたら派手な派遣の人って言えば分かる?」と教えてくれた。
名前を出されても分からなかったけれど、失礼にもその説明で本当に分かってしまって苦笑いを浮かべる。

確かにいる。
特別派手な感じの派遣の人がひとり。
仕事で関わった事はないから、食堂とかでたまに見かけるたびに派手だなぁと思うくらいだけど。

あまり着飾っていない山川さんとは合わないような気がするけど……仲がいいのかと驚く。

「短大の同級生らしいですね。その頃から仲がよかったって坂下さんから聞きました」
「なんで……結城くんは坂下さんとは接点なんてないでしょ?」

驚いている様子の山川さんに、結城さんが答える。


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