狼系王子とナイショの社内恋愛
「坂下さんに声をかけて、山川さんの事を話題に出したら、すぐに教えてくれました。
噂を流した事も、それだけじゃ気が収まっていなそうだって事も」
「……それが事実だとは分からないじゃない。坂下さんが嘘ついてる事も考えられるハズよ」
「そこまで言うなら家に行ってパソコンでも調べましょうか。
コンプライアンス室に送りつけた封書は、どうせパソコンで作ったんだろうし、データが消されていてもその辺に詳しいヤツなら履歴でもなんでも見つけられるだろうし。
使っている紙質からとかインクからでも、特定はできそうですしね」
俺の知り合いにパソコン関係に詳しいヤツがいますが呼びますか、という結城さんの脅しに、山川さんはしばらく黙って思いつめた顔をしていたけれど。
観念したのか、俯いたまま首を小さく横に振った。
それから静かに、私がやったのと事実を認める。
「だって……あんな簡単に私を振ったくせに、高橋さんにだけは入れ込んでて……。
それが見てて許せなかったのよ。
仕事でだって見た目だって私の方が勝ってる自信があったし、両方とも努力してきた!
なのに……なんで高橋さんだけが結城くんの特別なの?」