狼系王子とナイショの社内恋愛
納得いかないと言った風に訴える山川さんの言葉を、上から目線だとか自意識過剰だとか、そんな風には思わなかった。
企画課は、上から指示された仕事をこなせばいいわけじゃない。
個々の発案力や推進力、他にもたくさんの努力が必要な仕事だ。
その中で紅一点で頑張っている山川さんは、本当にそれだけの能力があって努力も人一倍なんだと思う。
そんな激務をこなしながらも山川さんは疲れた顔なんて見せないし、いつもぴしっとしていて、手抜きなんて見せない。
私だって仕事をいい加減にしているつもりはないし、誰かに文句を言われるような仕事は絶対にしていない自信があるけれど、それでも山川さんには敵わないって素直に認められる。
外見に至ってはもう、完全に白旗だ。
愛想笑いのうまさくらいでは勝てるかもしれないけれど、元々の造りが違いすぎる。
そんな山川さんに、なんで私だけが特別なのかを私の前で聞かれて、バツが悪く感じながらチラリと隣を見上げてみる。
困っていたらどうしよう、そんな風に思ってたのに、意外にも結城さんは柔らかい表情を浮かべていた。