狼系王子とナイショの社内恋愛
「申し訳ないですけど、言いたくありません。
俺だけのものにしておきたいので」
ただ単に、言葉が浮かばなかっただけの言い訳かもしれない。
だって、私が考えたって山川さんより私の方が勝ってる部分なんて見つからないんだから。
それを誤魔化しただけかもしれない。
そうも思うのに……。
結城さんが私を見てあまりに愛しそうに微笑むから、本当に愛情みたいなモノを感じて、顔が熱を持ってしまった。
赤くなったのがバレるのが嫌で頬を両手で隠すとそれを笑われて、また少し熱くなる。
蒸気でも出てきそうだ。
「もう……いいです」
その声に、一瞬忘れていた山川さんの存在を思い出して視線を向けると、山川さんは眉間にシワを寄せて目を伏せていた。
表情からは、怒りだとかいうよりも諦めみたいなものを感じて、なんだか申し訳ない気持ちになる。