狼系王子とナイショの社内恋愛


信じられないとでも聞こえてきそうな顔で言われてしまい、思わず苦笑いがもれた。

「恨んではないです。本当に好きだった人だし……そんな簡単に好きだって気持ちを消して恨むなんてできません」

ポカンとしてしまった山川さんに、こんな事言えるのは吹っ切れたからかもしれませんけどと付け足したけれど、山川さんの表情は変わらなかった。

「裏切られたのに、好きだったの……?」
「二股されて挙句振られたのに、その後もずっと課長を好きでしたよ。
俺が課長の事ちょっと悪く言ったら、私の好きな人を悪く言わないでって路上で泣き出すほど」

私の後ろにいた結城さんがそう笑う。
その話は出さないでくださいと注意すると、ごめんと困り顔で微笑まれた。

「いくら過去の事とは言え、他の男を好きだとか言われると気に入らなくてつい」
「今更じゃないですか。私がどれだけ課長を好きだったか傍で見てきたんだから。
それにもう終わった事ですし」
「それでも気に入らないもんは気に入らないし、少なくとも俺のいる前で他の男の話題はやめて欲しい」
「……やきもちが過ぎませんか」


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