狼系王子とナイショの社内恋愛

先日、結城さんの過去の経験値への私のやきもちが、本当に小さなものに思えてくるほどのやきもちに呆れてしまう。
私なんか特にモテるわけじゃないし、ましてや結城さん以上の男なんてそうそういるわけないんだから、やきもちなんてやく必要ないのに。

思わず笑みをこぼした私に、結城さんも同じように笑いながら答える。

「俺の事高校生くらいだと思っててくれればいいよ。そうすればいくら嫉妬深くてもイライラしないだろ」
「高校生って、なんでですか？」
「初めてちゃんとした彼女ができる頃だから。
高校の時は、周りの事なんて気にしないで所構わず四六時中ベタベタしてたり、異常に嫉妬深かったり束縛したりする友達を見て呆れて笑ってたけど、今ならその気持ちも分かる。
ついでに、夢中にさせられるんじゃなくて気付いたら夢中になってるものだっていうのも身を持って理解できた」

いつか私が言った事だった。
誰も夢中にさせてくれないし、そうこぼした結城さんに、夢中になるっていうのは気づいたら自分からそうなっているもので、誰かに夢中にさせてもらうんじゃないって。

まるで授業でもするみたいに話した事が頭に浮かんで、思わず笑ってしまった。