狼系王子とナイショの社内恋愛
悪いことをしたから謝る。
それは当たり前の事だけれど、時と場合にもよると思う。
浮気だとかそういう事の場合、悪いと思っても謝らずにずっとその罪を背負いながら生きていくのが償いだとも、私は思う。
「謝って……それを私が受け入れたら、課長は楽になりますか?
だったら受け入れます」
聞くと、課長は顔を歪めて驚く。
「少しくらい意地悪言わせてくださいよ。
きっと吹っ切れてなかったとしたら、課長の謝罪は自分が楽になりたいからなんだとしか思えないですもん。
こんな風にふたりきりになるとか、謝るとか……迂闊すぎます、本当」
「高橋さん……」
「でも大丈夫です。わざわざ謝って頂かなくても、私はもう吹っ切れていますから。
もう私の事は気にしないで、奥様と幸せになってくださって大丈夫です」
そう言って笑うと、課長は私をしばらく見てから、困り顔でふっと笑みをこぼした。