狼系王子とナイショの社内恋愛


「そんな本当か嘘かも分からない話してないで仕事戻りましょうって。
楽しそうに噂話してた子たちは少し驚いたような感じでしたけど」

言われて、いつの事かようやく思い出す。
ああ、そうか……。あの時のを聞いてたのか。

それで気にかけてくれるようになったなら、本当に申し訳ないな。

「今まで、俺の前であざとく俺を庇ってくれた子はいましたけど、俺のいないところで何の得にもならないのにそうしてくれた子は知らなかったから。
それから高橋さんがどんな人なのか気になり始めたんです」
「そうなんですか……」
「気になり初めてすぐ、佐々山課長との事は気づきましたけど、それでも高橋さんが気になる存在な事には変わらなかった」
「……結城さん。誠に申し訳ないんですが」

そう切り出した私を、結城さんが不思議そうに見つめる。

本当の事を言わなくても問題ないのかもしれない。
だけど、それがきっかけで私の事を気にしてくれているなら勘違いだって教えないと。

結城さんの気になってるっていうのがどういうレベルなんだか、恋愛に結び付く感じなのかは分からないけど、とりあえず。



< 24 / 251 >

この作品をシェア

pagetop