狼系王子とナイショの社内恋愛
「いつもの自信はどこいったんですか」
「本当に自分でも呆れるよ。余裕持ってカッコよく付き合いたいのに、これじゃガチガチに束縛するうざい彼氏だよな」
分かってるんだけど、と困り顔で笑う結城さんに、私も同じように笑みをこぼす。
自信はどうしたんだろうとは思うけど、別にうざいだなんて思わない。
結城さんがカッコよくないと言う態度は、多分私を特別だって思ってくれている証拠だから。
そう考えると、本屋で待っていられなかった事も怒るどころか嬉しく感じてしまうんだから、私も相当だ。
「課長とは、きちんとお別れしてきただけです。
課長が謝ってくれて、私がそれを受け入れて……結婚おめでとうございますって話をしただけで、結城さんの気に障るような事はひとつも話していません」
だから安心してくださいと微笑むと、結城さんは少し気まずそうに苦笑いを浮かべた。
「別に碧衣の事を信じてないわけじゃないんだ。
碧衣が俺を裏切って課長とヨリを戻すなんて本気で思ってるわけじゃないし。
それでも、万が一って考えたら止まらなくなって……気を悪くさせるような事してごめん」
「大丈夫ですよ。高校生男子と付き合ってると思えばこんなの何ともないですから」
「大人しく待てができなくても?」