狼系王子とナイショの社内恋愛

『過去の事は言い訳できないし変えようがないけど。
今、碧衣をどれだけ想ってるかなら伝えられるから。
時間をかけて証明してもいい？』

そう言われた事を思い出して、思わず笑ってしまった。

確かに結城さんの過去の恋愛を考えれば、不安がないわけではない。
だけど、結城さんの私への態度を見れば、そんな不安は小さくしぼんでしまうのに。

そんな事を気にしてくれていたのかと思うと、自然と笑みがこぼれていた。

「私も言ったハズです。
結城さんの気持ちがただの勢いだったとしても、一時的な感情だったとしても。
それでもいいって思えるくらい、私は結城さんを好きだって」

微笑みながら見上げる先で、驚いた顔をしていた結城さんがふっと微笑む。

「そんな事言ってるから二股かけられた上捨てられるんだって言いたいけど。
俺が相手なんだからそんな注意も必要ないか」
「結城さんのおかげで、課長との事もきちんと終わらせる事ができました。
これでやっと結城さんと……大智さんと私全部で向き合えます」