狼系王子とナイショの社内恋愛
「あの……でも、結城さんはすごくカッコいいですし、噂なんて箔がついたって感じだし……」
「俺、今すげー新鮮です」
会話がかみ合っていない気がして、はい?と聞き返すと、楽しそうな笑顔と明るい声が返された。
「俺の事眼中にない人が社内にいるなんて思ってなかったから」
そんな爽やかに言われたって、ああそうなんですかと聞き流せる言葉じゃない。
「……あ、冗談ですね?」
「いや、半分は本気」
「社内の女性社員がみんな自分に一目置いてるような事を、半分本気で……?」
え、大丈夫ですか、それ。ナルシストとかいう分類に入りますよね? 脳内華やかすぎませんか?
そんな思いで見ていたけど、でもこの顔立ちならそんな風にも思ったりしてしまうのかもしれないと、だんだん納得できてきてしまうからすごい。
今だって、他の席に座っている女の人からの視線が突き刺さってる状態だし、考えてみれば映画館の出口で立ち話していた時も、追い越す女の人が恋する瞳で見ていた気がする。