狼系王子とナイショの社内恋愛
エレベーターや電車は会社にはつきものだけど、私は幸い徒歩圏内だから電車は使わないし、エレベーターだって階段で回避できるから、今のところそんなに不自由はしていないのだけど。
でも、なんかちょっと意外だな。
結城さんが敬語しか使わないなんて。
敬語って言っても、私が見る限り、結城さんが使っている敬語はそんなしっかりしたものじゃない。
敬語にため口を混ぜ込んだ感じで、割合で言えば7:3くらい。
だから、敬語にしなきゃって気を使っているわけでもなさそうだ。
だけど明らかな後輩にまで使ってるって事は、わざわざ意識してって事なんだろうけど……。
謎だ。
まぁでもそもそも結城さんの事よく知らないし、私がエレベーター苦手なのと同じように何かしら事情があるって事か。
そんな風に片付けてオフィスに戻ると、なんだかいつもよりざわついていた。
まだお昼休みだし、午後の仕事を始めるまで雑談するのは結構いつもの事だけど、それにしても珍しいほどざわざわしている。
総務課の中央のあたりにみんなが集まってるけど、何があるんだろうと不思議に思いながらオフィスに入った。