狼系王子とナイショの社内恋愛


なんだか知らないけど、かなり盛り上がってるみたいだから聞こえなかったのかもしれない。
オフィス内のほとんどの人が総務課に集まっているみたいだし、本当になんの話なんだろう。

課長の席を囲むようにできた人だかりを見ていると、もう一度「高橋さん」と呼ばれて、結城さんの事を思い出す。

「あ、はい。なんですか?」
「いずれ知る事にはなると思いますが、今はまだ席に戻らない方がいいかと」

意味が分からなくて顔をしかめると、結城さんもわずかに眉を寄せて言いづらそうに口を開く。

「もしできるなら、今すぐ帰った方がいいですよ」
「……いえ。午後の仕事もありますし」
「まぁそうだろうけど……」

本当に意味が分からない。
特に話もなさそうなのになんで呼び止めたりしたんだろう。

「結城さん、お願いなんですが仕事以外で社内で話しかけてくるのはやめてください。
私、階段から突き落とされたりしたくないです」
「ああ、俺もそのつもりだったんだけど……ちょっと、緊急事態だったので」


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