狼系王子とナイショの社内恋愛


「誰かに夢中になってみたいって気持ちもあるんですよ。
そういう真面目な恋愛をして、誰かひとりを大事にしてみたいって気持ちも持ってみたいし」
「でもそれ、今までしてきた恋愛……というか関係とは正反対ですよ」
「両方男の本能だから仕方ないって事ですかね。
誰かひとりを守ってやりたい気持ちと、遊びたい気持ち。
男ならみんな持ってると思いますけどね。俺が正直に遊びすぎただけで」
「……そうですね」

現に、あんなに優しい優輝がそうだったんだから、そこは否定できない。

「そろそろ高橋さんの話をしましょうか。
俺の話じゃなくて」

目を伏せた私に何かを悟ったのか、結城さんが言う。
視線を上げると、優しく微笑む結城さんがこちらを見ていた。

「お酒はあまり好きじゃないって昨日言ってたから。
ここなら紅茶でもコーヒーでも飲み放題だし、時間気にせずゆっくり話聞けますよ」
「……え?」
「泣いてもいいですよ。
あまり大声で泣くようならさすがに場所移しますが」



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