狼系王子とナイショの社内恋愛
驚いた。
まさか今日のファミレスは、結城さんの優しさからだったなんて考えもしてなかった。
この人は本当に……気遣いができる人なのかも。
昨日といい、今日といい。
ああ、そういえば。
「今日、昼休みに止めようとしてくれてありがとうございました」
私が課長の結婚を聞かないようにと足止めをしてくれた事を言うと、結城さんは、ああ、と眉を寄せながら笑う。
「結局あんな事したところでどうにもなりませんでしたけどね」
「でも気持ちは嬉しかったです。舌打ちも」
「舌打ちした覚えなんてありませんけど」
食後のコーヒーを飲みながら微笑む結城さんに笑っていると、その瞳がこちらに向けられた。
「俺に泣き言は言いたくないですか?
まぁ、課長との関係で脅して誘うような男だからそう思われても仕方ないですが」
「そういうわけじゃないですけど。
まだ……気持ちを言葉にできないんです」
そう言うと不思議そうな顔される。