狼系王子とナイショの社内恋愛


「今話したらきっと汚い言葉しかでてこない。
まだ優輝……課長が好きなのに、責める言葉が出てきちゃうから。
矛盾してるんです」
「二股されて、しかも後から入り込んできた女を妊娠させて捨てられたんだから、恨み言が出てきて当然じゃないんですか?
その前に、さっきまだ課長が好きだって泣いた事も理解できないんですけど」

なんでですかと聞くと、結城さんは本当に分からなそうに顔をしかめた。

「ろくな恋愛してない俺が言うのもおかしいかもしれませんけど、今回高橋さんが受けたのはかなりの裏切りでしょ。
なのにまだ好きだって思える気持ちが俺には分かりません」
「もし結城さんが同じような事されたらどうなるんですか?」
「一瞬で嫌いになりますね」

即答されて、少し笑ってしまう。
そんな単純な想いなら、私も今こんなにツラくないのにと。

「ひどい事をされたからって、今までの楽しかった事や好きだって思った気持ちは消えてくれないんです」

そう呟くように言ってから、じっと見つめてくる結城さんと目を合わせた。





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