狼系王子とナイショの社内恋愛


ぺこりと頭を下げてから、店内に入る。

店内の気温は外と同じくらいだけど、空気の流れが悪い。
本当ならあまり好きな空間ではないけど、それでも部屋で長時間ひとりで過ごすよりはいいと判断する。

「いらっしゃいませー。席はカップルシートでよろしいですか?
只今、期間限定でカップルシートの方が20%オフになってますので大変お得です」

受付をしているのは、高校生くらいの女の子だった。
若いのに19時までバイトなんて頑張ってるな、なんて思いながら2時間で、と言おうとしてハっとする。

そして勢いよく振り返った。

「結城さん、なんでついてくるんですか」
「俺も寄ろうかと思って」
「なんで、付きまとうんですか! いい加減迷惑です!」
「別に漫画読みにきただけなんですからいいじゃないですか。
高橋さんの邪魔はしませんよ。あ、カップルシートでお願いします」

私を避けるように頭を横にずらした結城さんが、バイトの子に言う。


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