狼系王子とナイショの社内恋愛


「結城さんにアプローチかけてくる女の子も、みんな結城さんに夢中だと思いますよ。
想い合ってるから夢中になるとか、そんな風に割り切れるものじゃなくて、片思いでも夢中にはなるんです。
結城さんはつまみ食いが得意分野みたいですから理解にかけるでしょうけど、恋心ってそうなんですよ」

結城さんは最後の言葉にははっと笑った後、そんな事ないですよと否定する。

「そんな事ありますよ。結城さんみたいな人に片思いしちゃったら絶対に大変ですもん」
「まぁ、今の状態ならそうかもしれませんけど。
夢中にさせてくれれば、案外誠実だと思いますよ」

そう笑う結城さんに、そもそもそれが間違ってるんですと言うと首を傾げられる。

「夢中になるって、相手にさせてもらうんじゃなくて、気付いたら自分でも知らないうちに夢中になってるものだと思います。
自分の感情さえ相手任せなんてそれこそつまらないでしょ」

きっぱり言いきった私を真顔で見つめていた結城さんが、しばらくそうしてからなるほどと呟くように言う。







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