狼系王子とナイショの社内恋愛


結城さんがくるって事で、私も気づきべきだったんだ。
女性社員が結城さんを囲っちゃうって事に。

せっかく優輝の周りに女性社員がくるように席割をしたっていうのに、開始早々移動した結城さん狙いの女性陣のせいで台無しだ。

普通の飲み会なら誰をどんだけ囲って誘っても関係ないけど、今日はあくまでも優輝の……課長の結婚祝いだっていうのに。
これじゃあ主役が誰だか分からないじゃない。

そんな風に思ったけれど、だからって私が注意して優輝を主役にってお願いするのもおかしい気がしてやめる。
優輝も、他の女性社員にチヤホヤされるのを楽しみにしていたわけでもないだろうし。

チラっと視線を移すと、優輝は企画課課長と楽しそうに話していてホっとする。

もうハーレム状態は仕方ないにしても、優輝のための会である事は間違いないんだから楽しんでもらわないと困る。
本当にバカだって思いながら、結城さんに貸しまで作って設けた席なんだから。

「高橋さーん、飲んでるー?」

しんみりとしそうになったところに声をかけてきたのは、企画課の人だった。
普段親交がないだけに名前が即座に浮かばなくて焦る。

確か岡……岡野か、岡山か岡田……。
どれかだった気がする。


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