狼系王子とナイショの社内恋愛


「……なんでしょうか」
「いやー、高橋さんって普段はあまり目立たないけどこう見ると可愛い顔してるんだなーと思って。
でしゃばらない可愛さがあるよね。
思わず構いたくなるような」
「そんな事ありませんよ。でも、ありがとうございます」
「いや、お世辞とかじゃなくて。
ねー、付き合ってるやつとかいるの?」
「私は年下すぎて岡……」

とにかく、不釣り合いというか、似合わないって事を言いたかったのに、名前がハッキリ分からないせいで言葉が詰まる。

そんな私なんかお構いなしにニっと笑った岡……さんが、気持ち悪い笑顔でじりじりと近づく。

「大人の男を試してみるのもいいんじゃない?
俺、色々教えてあげられるよ……?」

気持ち悪い。
仕事できないくせに社内の女を口説こうとしている事も、なんか自分をカッコいいとか勘違いしてそうなところも、語尾をあげたところも全部が気持ち悪い。

きっと、酔って色々タガが外れちゃってるだけなんだろうけど……気持ち悪い。



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