狼系王子とナイショの社内恋愛
「この間は本当にごめん。もう事情は知ったと思うけど、俺は……」
「知ってます。……今日はそのための飲み会ですから。課長の、結婚祝いのための」
言葉を遮って言うと、優輝は少し黙る。
チラっと見上げると、優輝の傷ついた顔が見えて、胸に押し込んだ想いが出てきそうになる。
なんで、そんな顔……。
傷ついたのは私の方なのに。
「なんで課長がそんな顔するんですか……やめてください。
課長の望んだ通りになっただけなのに」
「それは……っ、いや、確かに俺が望んだ事だ。それは間違いない。そのために……高橋さんを傷つけた」
こんな話になっても、もう名前で呼び合う事はできなくて。
そこに、もう戻れない現実を見たようで悲しさが押し寄せる。
「だけど、本当に好きだったし、決して高橋さんを傷つけて喜んでるわけじゃない事は―――」
「もういいですから!」
大声を出した私を、優輝の驚いた瞳が見つめていた。
驚いている理由が、大声のせいなのか、溢れ出した涙のせいなのかは分からないけれど。