狼系王子とナイショの社内恋愛
「二次会、行かなかったんですか?」
てっきり行ったと思ってたのに。
というか、あれだけ囲まれてたら行かざるをえない感じだったのに。
「抜け出せそうもなかったから途中までは行ったんですけど。
電話だって嘘ついて抜けてきました」
「えっ、それ、女性社員がものすごくガッカリすると思いますけど……。
総務課の人、今日の事すごく楽しみにしてたのに」
「別に俺だけが目的じゃないから大丈夫ですよ」
「……それ本気で言ってますか? いつものナルシスト発言はどうしたんですか。
いつもだったら女全員俺と話したがってるみたいな事言うのに」
「そんなに性格悪くないですよ」
顔をしかめて笑った結城さんに私も笑っていると、じっと見つめられている事に気づいた。
「なんですか?」
「いえ。目が赤いように見えたので。もしかして飲めないのに結構飲んだんですか?」
一瞬、優輝との事が頭をよぎって動揺したけど、それを悟られないように笑顔で答えた。