狼系王子とナイショの社内恋愛
「そうなんですよ。つい。幹事失格ですね。
結城さんも楽しそうでしたね。いい子いましたか?」
歩いて、立ち止まっている結城さんとすれ違いなら言うと、結城さんは少し間を空けてからそうですねと返事をする。
そして、私の隣に並んだ。
「場の盛り上がりにかけると申し訳ないと思って、一応楽しそうにはしてましたけど、実際にはあまり」
「え、そうだったんですか? なんかすみません」
「いえ、高橋さんのせいじゃないので。
なんていうか……他の事が気になって楽しむどころじゃなかったんですよね」
「そうなんですか……」
なんだろうとも思ったけれど、あまり突っ込んだ事を聞いてもなと思ってそれだけ言って黙る。
私は文句ばかり言ってるけど、なんだかんだで結城さんに救われている自分も知っているから、結城さんが困っていて何か手伝える事があるならと思ったけれど。
結城さんから望まれなければそれはただのお節介だし。
そんな事を考えていると、隣から送られてくる結城さんの視線に気づく。
私が気づくと、結城さんが立ち止まったから、同じように歩くのをやめて向かい合った。