狼系王子とナイショの社内恋愛
飲み会をしたお店を出て10分くらい歩いただけだったけれど、大きなお店がないからか、道はひっそりと静まり返っていた。
たまにある街灯が夜道をオレンジ色に照らしてはいるけれど、間隔が広いせいで私たちが立っている場所には明かりは届いていない。
車の通りもあまり多くないから本当に明かりが少なく、お互いの表情が見える程度だった。
「自分でもそこまでだとは思ってなかったんですけどね」
「はい」
真顔の結城さんを見て、あこれは何か相談事か?と思いながら頷く。
「今までも、薄々は気づいていたんですけど、今日はさすがに自分でも認めざるをえない感じで」
「そうなんですか……」
何の話だか全然見えないけれど、結城さんは真面目な顔しているから真剣に聞く。
「大げさに聞こえるかもしれませんが、本当に今までこんな感情は持った事がなかったんです。
悔しいとか、イライラするとか……。
そもそもひとりに執着する事すらなかったし当たり前なのかもしれないですけど」