狼系王子とナイショの社内恋愛


じっと見つめられて、どうしていいのか分からなくなる。
ひとりに執着とか……それはもしかしたら私の事を言ってるのかもしれないと少し思ってしまったから。

だけど結城さんは、私が課長を想ってやまない事を知ってるハズだ。
課長を想って泣いているところだって見られたし、別れた今でも好きな事だって知ってる。
数いる女の中からわざわざそんな女を選ぶなんて事、まずない。

普通ならありえる事かもしれないけれど、相手は誰にも心を動かされた事がないっていう、結城さんなんだから。

気になるって言われた事はあったけど、だからなんだって訳じゃないし、結城さんからもそういう事あまり言わないし。
だから、私の事かもなんて考えるのは私のうぬぼれだ。きっと。

なんだか目を逸らしちゃいけない気がして、私も負けじとじっと見つめ返していると、結城さんがわずかに微笑む。

「佐々山課長の前だと、女の顔をするんですね」
「……え?」


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