狼系王子とナイショの社内恋愛
「最初は驚きとかショックの感情が大きかったのに、だんだんと悔しくなってきて……嫉妬してる自分に気づきました。
高橋さんの中では、佐々山課長だけが特別な男なんだって思い知らされたみたいで、悔しかった」
まるで、結城さんに告白されているみたいに思えてきて、目を合わせていられなくなる。
結城さんは、ただ自分に好意を持たない女に興味があるだけだ。
なのに、嫉妬だとか悔しいだとか言われたら、まるで私の事を好きみたいに思えてしまって。
黙ってしまった結城さんがどんな顔をしているのかが気になって、伏せていた目でチラっと見上げると、すぐに結城さんと目が合った。
真剣な瞳に、胸が跳ねる。
「俺にも女の顔見せてください」
「……え」
言い終わるや否や、近づいた結城さんに腕を掴まれて強く引かれる。
そのせいでバランスを崩して思わず結城さんに胸に飛び込んでしまって。
咄嗟に、すみませんと謝って顔を上げた時。
結城さんに抱きすくめられて、そのまま唇を塞がれた。
一瞬、何が起こっているのか分からなかった。
だけど、背中に回った腕があまりに強く抱き締めるからそれにハっとして、キスされている状況に気づく。