こっち向けよ
ソファに横たわって眠る舞は、肩掛けを布団代わりにしているが体を覆えるほど大きくないため縮こまっている。
前にしゃがみ込んで寝顔を見つめるのは何度目だろう…
気持ちに気づかなくて良いから、俺だけの舞が欲しくて、眠る舞に少し触れる癖がついた。
この時間だけが、誰かの許しも要らない2人きりになれる瞬間。
優しく頬に手を滑らせて触れた唇…
ファーストキスが俺だったからいい、なんて、皮肉なこと言うなよ。
ずっとこれ以上のことはしないと決めているのに一歩踏み込んでしまいそうだ。
入ったら最後。
出口は見えない、入口も見つからないような深い深い森に迷い込んでいくような関係…
でも俺は、そこに月が輝く限り、歩き続けるんだ。