こっち向けよ
わかった。
「しゅう~、って暗いな!」
廊下の光が眩しくて目を細めた矢先、部屋の電気を点けられいよいよ目が開けなくなった。
「どしたんだよ…」
必死に舞の表情を確認するべく瞼をこじ開ける。
「あいさん、まだ帰ってこないなって思って…」
心配そうな表情の舞は肩掛けをギュッと握り締めている。
「母さんは今日は帰ってこられないって連絡あったから、心配すんな。」
そばに寄って優しく抱き締めると、もうどこにも寒さはなかった。