こっち向けよ
「じゃあまたね!今晩帰ってくるから、その頃に連絡するね。」
素早く立ち上がって俺に背中を向けてしまう舞。
今どんな顔をしてるのか、超見てぇ。
…じゃ、ねーよ!
首を振っていると、不意に舞が振り向く。
「昨日のキス、嬉しかったよ。」
頬を綺麗に赤く染めて微笑んだ舞に見とれてしまう。
そのうちに去って行った背中をボーッと見つめていたら、ギリギリキャッチしていた言葉を思い出す。
───昨日のキス、嬉しかったよ。───
「…………………ッ!!!」
バレてた!!!
うわぁぁぁああ!!!!
───嬉しかったよ…───
「…………うわぁぁぁああ!!!!」
あまりにも恥ずかしすぎるだろ!!
もう舞の顔見れねぇよ!!!
「ちょっと、大丈夫~?」
戻って来た母さんにクスクス笑われてしまう始末。
この顔だけは誰にも見せらんねぇ。
舞よりも熱く真っ赤になった顔を見せないために、俺は暫くソファから動けなかった。