こっち向けよ
私に婚約者がいるって聞かされたとき、私はまだ小さかった。
いくつだったかな?
覚えてないくらい小さかった。
そんなに小さかったのに覚えていたのは、あまりにもインパクトが強いんだもん、忘れられる訳ない。
すごく苦しい出来事と
すごく楽しい出来事は
覚えていられるって話は本当みたい。
婚約者の話と、愁との2人きりの思い出はいつになっても覚えてる。
どっちが苦しくて、楽しかったかなんて考えるまでもない。
まぁ…婚約者の話は愁との日々で消えていったけどね。
お祖父様しかその話は持ち出さないから、思い出さないで済み、月日が流れた…