こっち向けよ
中学生になって最初の誕生日。
私は愁に祝ってもらうことを楽しみにしてた。
─5月5日のこどもの日─
毎年必ずお休みになるその日、朝から愁の家で過ごしていた。
ディナーはパパやママと鶴見経営のホテルでしようという約束で。
「愁!ゲームしよ!」
「ちょっと待ってろ~」
「なにしてんのー」
「ばっ、見んな。待ってろってば。」
顔いっぱいに愁の手が広げられ、諦める。
「へ~い…」
あれ?
愁の手ってあんなに大きかった??