こっち向けよ
まぁいいや。
「もしかしてプレゼント用意してたから?」
「そ。買ったはいいけど店員にラッピング頼みづらくてさ…」
視線を逸らして照れ臭そうにした愁がなんだか可愛くて、プレゼントは愁が居るだけで充分だなぁなんて思う。
「ありがとう、愁。」
自然と微笑みながら言うと、愁は私を見たまま止まってしまった。
おーい…
「しゅ、」
ピンポーン…
名前を呼ぼうとして、ピンポンに遮られた。
あいさんがインターフォンを確認して早歩きで玄関へ向かっていた…
今思えば、この出来事のおかげでできたこともあるから、ある意味では良かったのかも──