こっち向けよ





ボケッとしていると「こちらへどうぞ」と言われて鏡の一枚が開かれる。



ドアのように取っ手が付いていたみたい。



暗い室内は私が足を踏み入れると電気が点いた。



センサーで点く電気なんて、学校のトイレくらいだよね…



そこには大きな鏡のドレッサーがあって、試着室より一回り小さい部屋だった。



ドレッサーの前に座らされると首にタオルが巻かれて、お姉さんメイド2人によるメイクアップが始まった。



ボブカットのお姉さんメイドは私の顔にササッとファンデやチークやらアイメイクを施して、最後に唇にチークと同じ優しいピンク色のグロスを塗った。



「綺麗なメイク…」



いつもと違う自分の顔に驚いていると、いつの間にかポニーテールのお姉さんメイドが肩までの長さの私の髪を緩く巻いてくれた。



そして右耳の上になんかの青い花の髪飾りをつけてくれた。



「お嬢様、お気に召されましたか?」



おばあちゃんメイドに声をかけられてハッと鏡からおばあちゃんメイドに顔を向ける。



「はい!すごく綺麗なメイクと髪型とワンピースをありがとうございます!」





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