こっち向けよ





「そうとは知らず出過ぎたことを申して失礼致しました。」



私はきちんと時任さんに向き、深々と頭を下げた。



彼は執事である前に、仮にも婚約者の代理人なんだから、頭を下げても許されると思った。



「では…」



「しかし、」



頭を上げるよりも速く時任さんが明るい声で話そうとしたけど、私はそれを断ち切った。



頭を上げてまた見据える。



「申し訳御座いませんが、婚約を破棄させていただきたいのです。」



代理人でも立場上は婚約者同等。



直接断れて良かった…





< 147 / 226 >

この作品をシェア

pagetop