こっち向けよ
わかってたけど
───…詰めが甘かったと思っていたけど、ここまでとは思わなかったよ。
あの日、私の誕生日から一度もお祖父様から呼び出されず、婚約者についての話がどうなったかも知らされず、魚の骨がのどに詰まったみたいにすっきりしないまま、時が過ぎた。
まぁ、誕生日の次の日に家へ森さんが忘れ物を届けてくれたから、魚の骨はほとんど取れたような状態だったけど。
その、少し残った骨が、厄介だった。
時間は、今に戻る。