こっち向けよ
「ありがとう、あんたって有能なのね。」
その辺の町娘風情に言われても嬉しくねえような褒め言葉を貰った紘見という男は、一礼して去ってしまった。
「萎えたけど、続けようか。」
また俺に跨がってきた。
萎えたんならやめろよ。
「中二の夏、貴方は罪を犯した。想っても想っても触れることは許されないから、舞の傍に居ることが苦しかった。舞以外はいらないのに、絶えず女は寄って来る。そして、負けてしまった。」
そうだ、俺は欲に負けた。
同級生にばれると面倒だから、聞き分けの良い利口な三年の女を選んで、体の関係を持った。
予定は決めず、学校の休み時間や休日のほんの一時など、舞だけじゃなく、周囲にばれないように体を重ねた。
・・・キスだけ死守したところは、本当、自分はどこまでも舞を欲していると笑ったものだ。