こっち向けよ
「用は済んだ?もう帰るよ。」
人知れず動けるようになった体を起こす。
彼女を退けると悲鳴を上げた。
「ななななんで!!」
「薬が切れたからに決まってんだろ。服寄越せ。」
「嫌よ!」
「じゃあ勝手に探す。」
物色すると案外簡単に見つかった。
いまさらだけど、ホテルの一室らしい。
そんで、部屋を出るとリビングみたいなとこにソファがあって、その上に丁寧に畳まれていた。
因みに見つけるのは難無く終わったが、取り戻すにはちょっと運動した。
寝室を出るときに彼女がしがみついてきたので、捻り上げてシーツに包んで縛った。
リビングに出ると、今回の俺誘拐事件に関与したと思われる柄の悪い男が二名いて、襲い掛かってきたからそれも捻っ・・・らずに隙だらけな上に男だったから向こう側の壁に蹴り飛ばした。
ホテルだから隣の部屋にまで聞こえているかも知れない・・・
素早く服を着て部屋を出ると、黒スーツの男が壁に寄り掛かっていた。