こっち向けよ





「おはよ」



門を開けて、舞はフワリと微笑む。



俺の好きな笑顔。



「はよ」



つられて笑うと、舞は頬を染めて固まってしまった。



「舞?」



「あッ!えと、行こう!」



手を引かれて前のめりになりながら、さっき舞が通ってきた美しい庭を突っ切る。



後ろでガシャンと言って閉まった門は、確かオートロック。



舞を守る家としては上出来。



でも舞から招き入れてしまえば、こんな獣も入ってしまう。



詐欺師だって・・・





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