こっち向けよ





「津川くん、だっけ?」



眉間にしわを寄せた俺を見ると、笑みを深くして話しかけてきた。



「そうだけど」



そっけなく返事を返せば眉がピクリと動いた。



「俺さ、舞ちゃんの彼氏なんだ。」



ザワザワ…



集まり始めたクラスメート達が驚いている。



「時任くん!?」



アホな舞もさすがに戸惑っている。



てかコイツはかなりたち悪いんじゃねーのか?



とりあえず黙って耳を傾ける。



「幼なじみだからといって、俺の彼女をいつまでも君といさせたくない。」



そりゃそうだわ。



フムフム…で、どうするんかな?



「彼女を僕にください」



真顔で、大真面目に、俺としっかり目を合わせて、



奴はかましやがった…





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