こっち向けよ
「マジか…あいさんに起こしてって頼んだのに…」
彼女が15時に起きたかったことは俺も知ってる。
「母さんなら買い物行ったよ。起こすの可哀想だからとか言って。」
話すときは相手の顔を見るって子供の頃にたたき込まれたせいで
「あいさんは相変わらず優しいなぁ…」
困ったようにそう言いながら万歳の形で体を伸ばす彼女が目に映る。
まずい。
些細な動きも俺を煽っていることなんて全く気付いてないんだろうな…
「はぁ…」
小さく息を吐いて気を落ち着かせる。