こっち向けよ
「遅い!」
急いでも家から学校まで徒歩10分。
家を出たのは8時20分。
遅刻になるのは35分。
靴箱から教室まで約3分。
イコール、教室に入ったのは33分。
入ってすぐ、時任が整った顔を歪めてそう言った。
「「ごめん…」」
綺麗にハモることさえも辛いらしくて、顔に完全に影が出来た。
「…俺がいいよって言ったんだもんね、こっちこそごめん。」
「とき…」
キーンコーン…
舞が何か言おうとして、チャイムに遮られた。
「何してんだ?席つけー」
担任も来てしまった。
「じゃあまた。」
時任は俺たちよりも先に席に戻った。