こっち向けよ

思わず






「舞?本当に大丈夫なのか…?」



俯いている舞が酷く寒そうに見えて、頭に自分の額を軽く乗せる。



サラサラした髪は心地良く、自分と同じシャンプーなのに違うような香りが鼻腔をくすぐる。



「うん…」



微かに、舞の手に力が入った。



「時任になにかされたんだろ?」



今度はビクッと肩が跳ねた。



耐えられなかったって、言ったよな。



初めから婚約を破棄しようとしていたとも。



知りたい。



少しでも望みがあるのなら…





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