こっち向けよ
舞が着ている丈の長いパーカの襟をずらすと、人生で始めてみる痣があった。
「見ないで…!」
俺の手をどけようとしてきたけど、どくわけにいかない。
このキスマーク
連れ込まれたスイートルーム
舞の尋常じゃないくらいの涙
俺の怒りが独占欲と共に顔を出す。
「どこまで行った?」
笑うことも出来ず、射抜くような目を向けてしまう。
俺を見上げる舞はうっすら目に涙を浮かべている。
こんな顔をさせたい訳じゃないのに…
「だから…キス、だよ?」
掠れた声はその時を思い出させてしまっているように思える。