ギフト!
「………それの何がいけないんだい?」
勧誘対象が近くにいるのは良いことではないのか。
そう思って裕一郎に疑問をぶつけると、彼はすごい勢いで私にまくし立ててきた。
「それがいけないんじゃなくて!雅ちゃんがその彼に対して変な行動とらないか心配してるのッ!!
雅ちゃん、絶っ対、彼に変なこと言わないでね!!お願いだから!!!」
大声を出して言い切った裕一郎は真っ赤な顔で、ハァハァと肩で息をしている。
朝、裕一郎が遅れてきた時にも見た気がする光景だな。
そんな事を考えつつ、適当に返事をする。
「まあ、その件については検討してみるよ。……それより、いいのかい?理事長はもうすぐチャイムがなると―……」
キーン‥コーン‥カーン‥‥
「ははは、言った矢先になってしまったね」
と、私が無表情ながら言葉だけで笑っていると、裕一郎がハッ!として
「あああああ!!?や、ヤバいよ雅ちゃん!!早くいかなきゃ!!」
と叫んで走り出した。
走り出す時に手を握られたから、私も走らなくてはならない。
廊下を2人騒がしく走り抜けながら、前途多難だな…、としみじみ思った。